Home 会社概要


ぶりき

     ぶりき
現在の缶詰用ぶりきは、スズを鋼板に電気メッキした電気メッキぶりき(ET)となっています。スズには銀白色の光沢があり、比較的不活性で、大気中での鉄錆を防ぐ働きがあります。又、無塗装缶では、果実などの酸性食品の場合、少量ではあるがスズが溶出することと、メッキ層にスズ・鉄合金層があるため、缶内面地鉄の腐食と、内容物の変色劣化を防ぐ効果もあります。しかし、タンパク質に硫黄分を含む魚肉や畜肉の場合には、硫化変色を起こして外観を損なうことがあり、それを防ぐため、内面塗装とぶりきの表面処理の組み合わせによって、変色防止と密着性の向上がはかられています。なお、ぶりきの表面処理には、一般に重クロム酸陰極処理という方法がとられています。ぶりきの規格や種類などは「JIS−G3303」によって決められています。

ぶりきの種類と用途
ぶりきは鋼種、調質度、めっき量、焼鈍、表面仕上げ等により分類される。用途に合致したぶりきを選択することが大切である。

調質度による分類
調質度は、製缶工程で加工性に影響を与え、また缶の強度にも関係する。調質度はロックウェルTの硬さで表示され、これは製造者の努力すべき目標値とされている。

 
調質記号
目標硬さ
(HR−30T)
特徴
主な用途
一回圧廷
T-1
49±3
特に優れた柔軟性 深絞り缶や口
T-2
53±3
中程度の柔軟性と強靱度 一般の絞り缶や蓋など
T-2.5
55±3
柔軟度とほどよい強靱性 一般の食用缶など
T-3
57±3
適度の強靱性 一般の食用缶など
T-4
61±3
比較的大きな強靱性 一般缶の胴・蓋・王冠など
T-5
65±3
優れた挫屈抵抗 大型缶および圧缶など
連続焼鈍により製造されたものは調質記号の後に記号CAを追加する。(例 T−4CA)

メッキ量による分類

スズは耐食性に大きな影響を与えるため、内容物に適したメッキの選定が必要とされる。
ぶりきには両面のスズ付着量が同量の場合は等厚メッキ、スズの付着量が異なる場合は差厚メッキに区分される。差厚メッキの場合、メッキ量の相違をディファレンシャルマークを付けることにより区分される。

種類の記号 区分 付着量表示記号 呼び付着量
(g/u)
最小平均付着量
(g/u)
旧付着量表示記号
SPTE 等厚メッキ 2.8/2.8 2.8/2.8 4.9 #25
5.6/5.6 5.6/5.6 10.5 #50
8.4/8.4 8.4/8.4 15.7 #75
11.2/11.2 11.2/11.2 20.2 #100
差厚メッキ 5.6/2.8 5.6/2.8 5.05/2.25 #50/25
8.4/2.8 8.4/2.8 7.85/2.25 #75/25
8.4/5.6 8.4/5.6 7.85/5.05 #75/50
11.2/2.8 11.2/2.8 10.1/2.25 #100/25
11.2/5.6 11.2/5.6 10.1/5.05 #100/50
11.2/8.4 11.2/8.4 10.1/7.85 #100/75

表面仕上げによる区分

電気メッキぶりきの表面仕上げは、電気メッキ後のスズの溶解操作を行わないつや消し仕上げのものがあり、ぶりき原板の表面仕上げの違いにより次ページ通り区分される。

製品 表面仕上げ名称 記号 特徴
1回圧延製品 ブライトE BE 極めて優れた光沢のある仕上げではんだ性にも優れている。
ブライト B 光沢のある仕上げで、一般に広く使用されている。
粗面 R1 砥石目のある独特の仕上げで、表面キズが目立たない。
極粗面 R2 粗い砥石目の独特の仕上げで、表面が美しく保たれる。
マット M ダル仕上げで半光沢を有するノンリフロー
シルバー1 S1 ダル仕上げでリフローされており、DI缶や美術缶に使用されている。
シルバー2 S2 ダル仕上げでリフローされており、表面が美しく保てる。


ティンフリースチールの定義

 ティンフリースチール
ティンフリースチール(Tin Free Steel)とは、スズの付着していないぶりきに代わる鋼板である。文字通りに解釈すれば、対象となる鋼板は幾種類かあるが、電解クロム酸処理鋼板で、下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物からなる薄い膜で覆われた鋼板を意味する。

ティンフリースチールの性質
  1. 加工性
    ティンフリースチールの加工性はぶりきに劣っている。これは柔らかくて潤滑性のあるスズと硬いクロム水和酸化物の相違による。粗雑な作業や不注意な取り扱いにより傷を付けると、皮膜が薄いために発錆することがある。
  2. 溶接性
    ティンフリースチール表面皮膜のクロム水和酸化物が不導体のため、ぶりきに比較してよくない。
  3. 塗装性
    塗料のぬれ性の問題として起こるアイ・ホールはティンフリースチールの場合起こらない。また、密着性はぶりきより優れている。
  4. 耐硫化黒変性
    耐硫化黒変性は、ぶりきに比較してティンフリースチールの持つ優れた特性である。これはビール缶および炭酸飲料缶として要求されるだけでなく、肉類、含硫化物野菜缶に使用される場合に重要である。

新素材

    新素材
ティンフリースチールの表面のクロム水和酸化物は不導体のために、溶接の場合、研磨によりこれを除去しなければならない。このような過程で無研磨で高速溶接性のある新素材が開発された。高速溶接性とぶりき、ティンフリースチールの持つ耐食性、塗料密着性などの要素が必要とされ、ぶりき製造各社でいろいろな新素材が開発された。基本的にはぶりき原板の上に、耐食性を持たすために、ニッケル、クロム、亜鉛等をめっきし、溶接性をよくするために薄いスズメッキを施す。最後に塗料密着性の向上のために、薄いクロム水和酸化物を付着させる構造である。また両面の処理方法を変え、それぞれの特長を生かした素材も開発されている。
経済的にも、新素材の価格はティンフリースチールとぶりきの中間にあり、ぶりきからは経済的メリット、ティンフリースチールからは使用上の問題点の解決ができることも普及の大きな要素となった。新素材は、今後は特に経済的な要素からも開発されると思われる。


ラミネート材
ラミネート材は、鋼板にプラスチックフィルムを貼った製缶材料であり、1970年頃には開発されていた。フィルムは構造(単層、複合)と原料(ナイロン、ポリエチレン等)で区分される。これらは製缶方法と対内容物性で使い分けられる。18L缶の場合、単層フィルムはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルフィルムが、ラミネートフィルムの場合ポリエチレンを主体としたフィルムがよく使われている。

単層フィルム

複合フィルム